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甲状腺とは?
[ 72] 甲状腺機能亢進症Q&A
[引用サイト]
http://www.m-junkanki.com/diseases/hyperthyroid2.html
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甲状腺の病気に関しては当院の解説よりも詳しいものが、ネット上でたくさんあります。そちらも参考にしてください。 A:甲状腺ホルモンが多すぎるため、いろいろな異常がでる病気です。代表的な病気としてバセドウ氏病があります。 甲状腺機能亢進症は甲状腺から甲状腺ホルモンがたくさん出過ぎるため、全身の細胞の新陳代謝が異常に高まる病気です。 正常では、甲状腺ホルモンの量は脳下垂体という脳の一部からでる甲状腺刺激ホルモン(TSH)という別のホルモンの量で調整され、甲状腺ホルモンが適度な量になるようにコントロールされています。 つまり、甲状腺のホルモンが不足と判断されれば、甲状腺刺激ホルモンが血液にたくさんでて(TSH増加)甲状腺へ達し、「甲状腺ホルモンをもっとたくさん製造しなさい」と甲状腺への命令を出します。 逆に、甲状腺ホルモンが多すぎると判断されれば、血液中に放出される甲状腺刺激ホルモンが減少し(TSH減少)、「甲状腺ホルモンの製造をゆっくりしなさい」と甲状腺への命令を出します。 しかし、ここで偽りの「もっと製造しなさい」との偽の命令書がでるとどうなるでしょう。 甲状腺から過剰のホルモンが造り続けられることになります。 この「偽の命令書」の働きをするのが、甲状腺受容体抗体(TBII, ほとんどの甲状腺機能亢進症は、甲状腺細胞の表面にある甲状腺ホルモン受容体という部分に対する抗体(甲状腺受容体抗体)というものができることによって起こる「自己免疫疾患(※注)」であることがわかっています。 そして、この病気の発見者の名前から「バセドウ氏病」と言われています。 バセドウ氏病は男女比1:5で、女性に多い病気です。発病は20〜40歳代に多いとされてます。 (※注):自己免疫疾患とは: 本来、免疫は外部からきたウイルスや細菌などの異物や老朽化や傷んだ細胞を、「自分ではないもの(非自己)」として、認識して攻撃、処理します。 これにより、我々の身体は「正常な細胞の集まりとしての生命」が維持できるのです。 ところが、正常な細胞や身体の一部を、「非自己」と誤認して、これを攻撃するためにおこる病気のグループがあります。 動悸(心臓がどきどきする)、頻拍(心拍数が多い)、汗かき、湿った皮膚、たくさん食べるのにやせる、手の指が震える、疲れ易い、暑がり、イライラして落ち着きがない、軟便・下痢傾向、不眠症などがあります。月経過少、無月経にもなりやすい。 頻脈が続くと、脈が乱れ、さらに心不全を起こすことがあります。 また、眼球突出や眼光が鋭くなるなどは有名な症状です。 骨粗鬆症にもなりやすくなります。 ほとんど場合に甲状腺は腫れて大きくなります。 ただし、腫れの程度と病気の重症度は必ずしも関係がありません。 また、症状が強くでる人と余りでない人があります。頻脈(脈が速くなる)、心房細動などの不整脈もみられます。 若い人の甲状腺機能亢進症は、●動悸、●甲状腺の腫れ、●眼球突出の3つの特徴がそろっていることが多く、診断は難しくありません。 しかし、高齢者の甲状腺機能亢進症は体重減少のみが目立ち、動悸や眼球突出などが目立ちにくく、診断が困難になります。 また、総コレステロールの低下もみられます。 バセドウ氏病が疑われる場合には、TSH受容体抗体の測定を行います。 stimulating antibody:甲状腺を刺激する活性で測る方法)とがあります。 前者は甲状腺機能亢進の程度と関係が深く、後者は眼球突出症との関係が深いと言われています。 バセドウ氏病の診断をつける場合には、TBII(一般にはTRAbと呼ばれる)を最初に測った方がよいようです。 これにより、バセドウ病の診断がつくばかりでなく、この数値が高いと治りにくいと予想されます。 TBIIが陰性の場合にはTSAbを測定して、バセドウ氏病の診断をつけます。 TSH受容体抗体が30%以上の甲状腺機能亢進症は、バセドウ氏病と考えて治療を開始します。 注:びまん性の甲状腺腫 + 甲状腺ホルモン高値の約10%がバセドウ氏病でなく、無痛性甲状腺炎と言われています。 A:通常は抗甲状腺薬と呼ばれる内服薬で甲状腺の働きを抑制します。そして、病気が落ち着くまで、何年も治療を続けます。 最も行われている標準的な治療方法です。 甲状腺の働きを抑える●メルカゾールや●プロパジール(またはチウラジール)を内服します。 ともに甲状腺のホルモン合成に大切な酵素を邪魔して、甲状腺ホルモンの合成を阻害します。前者は後者よりも作用が強い薬剤です。 甲状腺ホルモンが正常化したあとに、徐々に薬の量を減らし、甲状腺ホルモンが正常範囲内に維持できる量にします。 減量が遅れると強い甲状腺機能低下症となり、甲状腺腫の増大の原因となります。 維持量はメルカゾールなら通常1〜2錠/日です。 ホルモンが正常化してもすぐに薬を中止すれば、ほとんどの場合再発します。 日本の成績からは2〜3年は薬を続けることがほとんどです。根気よく薬を続けなければなりません。 この治療の長所は、薬を飲むだけなので簡単なことと、比較的お金がかからないことです。 短所は、時間がかかること、ときどき薬の副作用で、じんましんや白血球が減ってしまう副作用がでることです。 もし、白血球が減ってしまう副作用がでた場合は、扁桃腺炎を起こして喉が痛んだり、高熱がでたりします。 その様な症状が現れたら、直ちに服薬を中止して病院で血液検査を受け、白血球の数を調べる必要があります。 早期に対処すればよくなります。 手術をする前には、まず飲み薬で甲状腺ホルモンを正常化しておく必要があります。その後で、全身麻酔を行い手術します。 この治療の長所は、治療にかかる時間が短いことと治療後の再発が比較的少ないことです。 短所は、傷跡が残ること(美容上の問題)、切除する範囲が小さいと再発してしまうこと、入院しなければならないことです。 外来で治療できますが、治療中に妊娠する可能性のある女性には使えません。治療後の将来の妊娠には問題ないとされています。 中高齢の方の治療に使われることがありますが、放射線科の大きい施設があるところでないと薬が処方できないことになっています。 放射線による副作用や癌の発生の危険性などはないとされています。 この治療の長所は、薬のアレルギーなどがあって、内服療法ができない人でも治療ができることが一番です。 早く病状がよくなるため、早期に抗甲状腺剤が中止できます。 短所は、できる病院が限られていることと、若い人には使えないことです。 甲状腺機能低下症になってしまうので、甲状腺ホルモンを一生補充する必要がでてきます。 最も注意すべきは、「白血球が少なくなる無顆粒球症」です。定期的な血液検査などで注意する必要があります。 もし、白血球が減ってしまう副作用がでた場合は、扁桃腺炎を起こして喉が痛んだり、高熱がでたりします。 その様な症状が現れたら、直ちに服薬を中止して病院で血液検査を受け、白血球の数を調べる必要があります。 早期に対処すればよくなります。 1)TRAb(TSAb)が陰性化、2)一年以上甲状腺機能が正常、3)甲状腺腫が大きくない(長径6cm未満)など参考にします。 標準的な治療経過では、最初はメルカゾールなら一日3〜6錠から開始すると、甲状腺ホルモン(FT3、FT4)は数ヶ月後に正常化します。 甲状腺ホルモン(FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH) の2つともが正常範囲になるように薬の量を調整します。 抗甲状腺薬が一日一錠になったら、薬を中止してよいか考えます。 中止できるかどうかの判断で役立つのがTSH受容体抗体です。 TSH受容体抗体が陰性にならないと、薬を中止しても再び症状が悪化するので、陰性になるまでは薬を続けます。 TSH受容体抗体が陰性の場合は、中止すると75%は再発がありませんが、25%は再発します。 いきなり中止するよりは、一日おきに一錠を6ヶ月間続けるという風に徐々に薬を減らしてゆくのがよいとされています。 ただし、バセドウ氏病になりやすいと言う体質そのものは残っているので、何かをきっかけに再発することがあることを覚えておく必要があります。 分娩後、アレルギー性鼻炎の後は再発が多いとされています。また、喫煙者は緩解率が低いとされています。 妊娠初期(8〜13週)は絨毛性ゴナドトロピンが甲状腺を刺激することにより、軽度の甲状腺機能亢進症になることがあります。 抗甲状腺薬は妊娠・分娩にも基本的には問題ありません。勝手に薬を中止することの方がよくありません。 ただし、治療薬(メルカゾール)によっては胎児や乳児への影響がでやすいので、薬の種類を変えることがあります。 授乳中も母乳への薬の移行が少なく、常用量では乳児の甲状腺機能には影響しないプロピルチオウラシルの方がお勧めです。 1)食事は、検査の前などに特別にヨード制限食とすることがありますが、日常の生活では特に制限はありません。 海苔や海産物を好んで多食したり、逆に極端に制限するとかえって病状を悪くすることがあります。 2)処方された薬は副作用がでない限り、根気よく続けて下さい。 病気の症状も薬をのめば半月から1ヶ月で消えてしまいますが、ここで治ったと思って薬をやめると再発します。 3)規則正しい生活をして、適度な運動と適度な休養をってください。 特に、妊娠をきっかけに病気の状態が変わることが良くありますので、妊娠は医師と相談してください。 (注)当院のホームページの解説よりも詳しいものが、ネット上でたくさんあります。そちらを参考にしてください。 A:甲状腺機能亢進症の約10%が無痛性甲状腺炎と呼ばれる病気です。バセドウ氏病と治療方法が異なるので両者を見極めることが大事です。 無痛性甲状腺炎は、自己免疫により甲状腺組織が破壊されて、中にあった甲状腺ホルモンが血液中に漏れることにより起こる甲状腺機能亢進症です。 比較的軽度の橋本氏病により生じると考えられています。甲状腺機能亢進状態は通常1〜3ヶ月間持続します。 甲状腺組織に蓄えられている甲状腺ホルモンは有限なので、長くても数ヶ月で血液中の甲状腺ホルモンは低下し、逆に甲状腺機能低下症の状態が、1〜数ヶ月持続します。 無痛性甲状腺炎は抗甲状腺薬は必要としません。動悸などの症状があるときは、甲状腺ホルモンの働きの一部を抑制するβ遮断薬を使います。 ・ 薬による発疹、肝障害、白血球が大きく減少した場合(無顆粒球症)などの薬の副作用がでた時 。 |
[ 73] 妊娠と甲状腺の関係について
[引用サイト]
http://www.noguchi-med.or.jp/illness/thyroid/pregnancy.htm
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治療していないバセドウ病で甲状腺ホルモンが多い状態(甲状腺機能亢進症)が持続すると、流産、早産、妊娠中毒症の危険性が増すといわれています。母体血液中の抗TSH受容体抗体(TBII)が高値の場合、胎児、新生児に甲状腺機能亢進症がみられることがあります。一方、母体の甲状腺機能亢進症によって胎児奇形の頻度が増すとの証拠はないようです。 妊娠がバセドウ病に与える影響 妊娠週数が進むとバセドウ病は次第に落ちついてきます。薬を内服している人で は薬の必要量が減ります。しかし、出産後には再びバセドウ病が悪化することが多いようです。 妊娠中、授乳中のバセドウ病治療薬 母体の甲状腺機能亢進症は妊娠経過に悪影響を与えますから、バセドウ病で甲状腺ホルモンが多い時は治療しなくてはいけません。バセドウ病治療薬(抗甲状腺剤)にはチアマゾール(メルカゾール)、プロピルチオウラシル(チウラジール、プロパジール)の2種類がありますが、妊娠中、授乳中はプロピルチオウラシルの方が望ましいと考えられています。チアマゾール内服中の母体から頭皮欠損の新生児が生まれた報告がありますが、一般的には抗甲状腺剤によって奇形の頻度が増すとの証拠はありません。治療しないでホルモンが多いままにしておく方が害が大きいと考えられています。妊娠したことが判った途端に薬を止めてしまうことは誤りです。薬が必要な場合は妊娠中も続けなければいけません。 母乳への薬の移行はプロピルチオウラシルの方が少なく常用量では児の甲状腺機能には影響しません。チアマゾールは母乳中に移行しますが少量の内服から8〜12時間たてば授乳してよいとの意見もあります。薬に対するアレルギーがなければ、適切な薬物治療でバセドウ病をコントロールしながら、元気な赤ちゃんを育てることは可能です。 バセドウ病治療中に妊娠を希望する場合の治療 維持量(1日1〜2錠)のプロピルチオウラシル内服で甲状腺機能がコントロールされてから計画的に妊娠することができれば何ら問題はありません。プロピルチオウラシルを内服しながらでも甲状腺機能がコントロールされていれば妊娠してかまいません。 妊娠するまでに手術でバセドウ病を治療しておく方法もあります。ただしバセドウ病手術直後の数ヶ月からおよそ1年までは甲状腺機能が低下していることがよくあります。この時期に妊娠を希望する場合は甲状腺ホルモン剤を内服して甲状腺機能を正常にコントロールしてから計画的に妊娠することを勧めます。自然の経過で甲状腺機能が回復するまで待てる場合はそれで問題ありません。バセドウ病手術後にもTBII高値が続く場合がありますので、TBIIは測定しておくべきです。 妊娠中にバセドウ病と初めて診断された場合 診断された時から薬物治療をきちんと受ければ問題ないと考えられます。妊娠中だからといって薬の量を控えめにする必要はありません。必要なだけの分量の薬を内服して早く甲状腺機能の正常化をはかるべきです。 妊娠中の薬物治療の実際 妊娠週数が進むとバセドウ病は次第に安定します。妊娠後半には薬の必要量が減り中止できることもよくあります。薬物治療中は胎児血中の甲状腺ホルモン(遊離T4)値は母体血中のそれより低めになりますから、母体血中の遊離T4が正常上限から軽度高値になるようにコントロールします。妊娠後半に母体血中のTBIIを測定して新生児甲状腺機能亢進症の可能性の有無を調べておきます。 放射性ヨード治療後の妊娠 バセドウ病を放射性ヨードで治療した場合、治療から妊娠まで1年以上あければ妊娠経過や胎児に影響はないと考えられています。 新生児の甲状腺機能亢進症 バセドウ病の母体血液中には抗TSH受容体抗体(TBII)があります。この抗体は胎盤を通じて胎児に移行します。妊娠後半の母体のTBIIが高値(およそ60%以上)の場合は胎児の甲状腺が刺激されて機能亢進を呈する場合があります。出生直後にも甲状腺機能亢進症を示すことがあります。このような場合は産科、小児科の先生による管理が必要です。新生児の甲状腺機能亢進症は母体から受け継いだTBIIが自然に消失する生後3ヶ月頃までには治ってしまいます。 妊娠8〜12週頃に一時的に甲状腺機能が亢進することがあります。胎盤がつくるhCGというホルモンによって甲状腺が刺激されるためと考えられています。つわりの強い人に多くみられ、血中hCGは60000 IU/l以上の高値を示します。もともと甲状腺には全く異常がない人にも発症します。一時的な機能異常ですので時期がくれば治まりますが、機能亢進の程度が強い時は無機ヨード剤による治療が勧められます。バセドウ病と見分けるのが難しいことがあります。 慢性甲状腺炎が妊娠経過に悪影響を与えることはありません。甲状腺ホルモン剤を内服中の場合は血中TSH(甲状腺刺激ホルモン)が正常域になるように薬の量を調整して下さい。 出産後の2〜6月の間にはしばしば甲状腺機能異常がみられます。機能異常には色々なタイプがあり、甲状腺ホルモンが増える場合も減る場合もあります。また、一時的な変動だけで自然に治ってしまうことが多いのですが、永続性の機能亢進症や機能低下症を起こす場合もあります。授乳している場合は検査に制約があるため一時的なものか永続的なものか一回の検査では見分けが難しい場合があります。出産後の半年間には何回か甲状腺ホルモン値の測定が勧められます。 最近、外国から母体の甲状腺機能低下症は軽度であっても後々子供の知能の発育に影響するという論文が出ました。これが日本でも当てはまるかどうか判りませんが、妊娠中は母体の甲状腺機能を正常にコントロールしておくべきです。母体血中のTSHが正常になる量の甲状腺ホルモン剤(レボサイロキシン、チラージンS)の内服は胎児に悪影響を与えません。妊娠週数が進むと薬の必要量が増えますので定期的に検査をして薬の量を調整することが必要です。なお、甲状腺ホルモン剤は授乳中にも内服できます。 甲状腺ホルモンは子供の成長、特に神経や骨の発育に不可欠のホルモンです。日本ではすべての新生児について甲状腺機能低下症をスクリーニングしています。新生児の甲状腺機能低下症が診断された場合はなるべく早く甲状腺ホルモン剤の内服を始めます。適切に治療すれば子供の成長に悪影響を残しません。 |