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変化とは?

[ 42] 気候変化
[引用サイト]
http://www.lbm.go.jp/satoguti/geology/geoseminor6th.html

このページは,琵琶湖博物館の内部向けの8回連続講座としておこなった時に作ったテキストを,web用に再構成したものです.
図6-1 極地域の陸域にある氷床が拡大すると,海の水が氷の塊として閉じこめられるため,液体としての海の水が減り,海水面が下がる.
地球温暖化が叫ばれて久しいですが、この原因は人間活動による二酸化炭素が増えていることとも言われています。このような気温の増加は、人間活動が活発にならなければ起こらないことなのでしょうか?
実はこれまでに、人間活動と関係なしに地球上が寒くなったり暖かくなったりしていることがわかっています。たとえば、日本の縄文時代はいまよりも暖かかったと言われています。また逆に、氷河期といわれる時代は今よりも寒かったとされています。また、400万年前の琵琶湖周辺は暖かい時代であったことが、A展示室の亜熱帯の湖で示されています。さらに、このような気温の寒暖は、何度も繰り返し起こっているとされています。こういった気候の変化は、もちろん現在のような活発な人間活動によるものとは考えられません。たしかに、現在の温暖化は人間活動の活発化が原因なのかもしれませんが、そういった事柄は、人間がいようがいまいがおこいうる地球の変化との関係の中で考える必要があります。しかし、今いわれている地球温暖化の問題は、人間活動によるよらないはあまり問題ではなく、地球が暖かくなることそのものが問題視されています。ですから、もし、人間活動の活発化が原因でなくても、地球が温暖化するとなると何らかの対策を考えるのだと思います。当然そのことによる地球への負荷があるかどうか?というような事も同時に叫ばれるとは思いますが。
気温の変化は、地球上のどこでも同じように行われる訳ではなく、場所によって、特に緯度によって違います。どちらかと言えば、赤道付近よりも極地域(北極や南極)へ行くほど大きくなります。ですから、極地域へ近づくほど寒暖が激しくなるということです。
前述の縄文時代が暖かかったということは、どうしてわかったのでしょうか?縄文時代には、海岸線が現在よりも内陸部にあったと言うことが考古学の遺跡調査からわかっています。貝塚など、海の近くにあるべきモノが内陸部にあるという不自然な分布をしていました。これは、縄文時代には今よりも海岸線が内陸部にあり、その近くに住んでいた人々のものと考えられました。このように海岸線が内陸部に移動することを“海進”とよびます。縄文時代におこった海進は“縄文海進”と呼ばれています。逆に海岸線がより沖合へ移動することを“海退”といいます。こういった海進や海退と気候の変化とはどのような関係にあるのでしょうか?
図6-2 海進.地球表面の温暖化によって海水面が上昇すると,海岸近くの地形によっては,海岸線が陸側へ進んでくるように見えることから.海退は,この逆の現象.
縄文時代には暖かかったとされていると、前述しましたが、これは縄文海進と関係しています。一般に暖かい時には海進が起こり(海が内陸部まで入ってくる)、寒くなると海退が起こる(海岸線が海側へひいていく)と言われています。これは、暖かいと雨が多くなり寒いと雨が少なくなるという事ではなくて、極地域にある氷河や氷山との関係です。地球が暖かくなるとその温暖化は、極地域がもっとも影響を受けます。そうすると、極地域には氷河、つまり氷の塊があるので、それらが融け出します。塊として閉じこめられている水が融けて海に流れ込むと、海水の総量が増えるので海水面があがります。海水面が上昇すると、陸域でも平野部などは標高が低いので、海になるところが出てきます。例えば、標高2mの場所などは、海面が3m上昇すると、標高-1mとなり、海の底になってしまうわけです。このとき、陸域の地形を考えてみると、断崖絶壁の海岸などは違いますが、砂浜などがある海岸を考えると、海から陸へはだんだんと高いところへいくような地形になっています。そういう場所では、海面が徐々に上昇してくると、だんだんと海が陸へ上がってくるように見えます(図6-2)。このことから海面上昇を、海進、というようになったと言えます。
その逆に海退は、海が退いていくわけですから、海面が下降する事と考えられます。海面が下降するということは、融けだして海に流れ込んでいた水が、極地域に氷河や氷山という氷の塊として閉じこめられることが考えられます。つまり、海進と逆に、海退は寒冷化した時に起こる現象といえます。
ただし、海に浮かんでいる氷山などは、ほとんどが海の中にありますので、海にある氷山よりも、陸域にある氷河などが融けて水として海に流れ込む方が、海面上昇への影響が大きいです。その逆に、寒くなって氷河が陸域に作られる方が海面降下への影響が大きいです。同じ極地域でも、北半球より南半球の方が南極大陸があるため、海面変化への影響が大きいと考えられます。ただし、北半球には、極から少し離れたところに、ユーラシア大陸や北アメリカ大陸などの大きな陸域があることから、このあたりの氷河分布が大きくなったり小さくなったりすることによる、海面変化への影響は大きいです。
図6-4 陸橋のイメージ.寒冷化が進行して海水面が低下したために,浅い海だった場所が陸域になることで,海で隔たれていた場所が陸でつながるという考え.
図6-3 陸橋の間違った漫画チックなイメージ.細長い人工的な橋があった,というわけではなく,実際には海水面の低下による,陸域の増加と関係する.
海でへだたれた地域に近縁の種類の動物がいる理由として、「陸橋」というものが考えられました。陸橋とは、文字の通り陸の橋の事です。すなわち、陸と陸をつなぐ橋のようなものが存在したのだ、という考えです。このとき、“橋”というイメージから、人工的なモノや細長い海に架かるようなモノを想像されるかもしれませんが(図6-3)、実際には、海水面が下がることによって、それまで海の底だった場所が陸域になり、海で隔たれていた場所が、陸でつながってしまうというものです(図6-4)。日本などの島では、大陸にいる動物との関係を考える上で、この陸橋の考えが非常に重要となっています。たとえば、日本にいたゾウなどの動物は、大陸からわたってきたと考えられており、特にゾウの種類については、何度も入れ替わったとされています。その入れ替わりが大陸と地続きになってわたってこれた時期だとの考えもなされています。
このように気候変動は、動物の分布範囲を広げたり狭めたり、また移動したりということとも関係しています。
A展示室の亜熱帯の湖では、今よりも暖かかった時代であったことが示されています。これは、その当時にたまったとされる地層中に保存されている化石から、昔いた動物が、暖かいところに住んでいるはずの動物であったり、暖かいところに生えている植物の化石や花粉が見つかることによります。それぞれの地域における昔の気候については、地層中に保存されている化石から検討されます。そういった化石から過去の気候をしる手がかりがありますが、もっと別の方法もあります。
酸素同位体比というのを使うと、気候の変化がわかるとされています。これは、海に住んでいる有孔虫という炭酸カルシウム(CaCO3)の殻でできた微生物を化学的な分析をするとわかります。
暖かい時期と寒い時期の違いは、酸素同位体というもので調べることができます。酸素には重い酸素(酸素18)と軽い酸素(酸素16)があります。水(H2O)は水素(H))と酸素(O)からできているので、重い酸素でできた水と、軽い酸素でできた水の両方があり、海の水も同様に重い酸素でできた水と軽い酸素でできた水の両方があります。しかし、海の水が蒸発するときには、重い酸素を使った水よりも、軽い酸素を使った水の方が蒸発しやすいという性質があります。地球上が寒い時期になると、海から蒸発した水は、北極や南極などの極地域に氷河などの氷の塊として水は閉じこめられます。このとき、氷の中に閉じこめられる水は、軽い酸素を使った水が多いので、海の水は、重い酸素を使った水が比率的に増える事になります(図6-5)。
図6-5 軽い酸素(16)からなる水の方が,重い酸素(18)からなる水よりも蒸発しやすいため,地球上が寒冷な時期には,軽い酸素の水は極地域で氷として閉じこめられてしまう.そのため,海の水は重い酸素(18)からなる水の比率が高くなる.
有孔虫が炭酸カルシウムの殻を作るときには、海の酸素も使いますので、このとき重い酸素と軽い酸素のどちらも使います。ですから、海に軽い酸素が多いときには、そのときに生きていた有孔虫は軽い酸素をたくさん使っていて、海に重い酸素が多いときには、有孔虫の殻には重い酸素が多くなります。つまり、地層中に残っている昔の有孔虫(有孔虫化石)の殻にある酸素を調べることによって、過去の気候変化を間接的に調べることができるのです。このことについては、過去数百万年にわたって調べられています。それによると、過去に何度も寒暖を繰り返していることがわかります。また、その寒暖は非常に周期的に行われているように読みとれます。
気候の変化を数年〜数十年の変化で読みとるともっと細かく変化している事がわかります。しかし、それをより長い時間でみると、細かい変動は読みとられませんが、もっと長い時間で起こっている変化が理解できます。例えば、数千年程度を一塊りの気候としてここ100万年程度の変化を読みとっていくと、10万年程度の寒暖の周期性、つまり寒暖の繰り返しがあることが見えてきます。現在は、この周期のなかでは縄文時代に暖かいピークを迎えて徐々に寒くなる時期に当たっていると考えられています。このような周期性の原因は、地球の動きと関係していると言われています。地球の動きとは、地球が太陽の周りを回っているとか、地軸の傾きや向きが変化しているなどです。このような周期は、この周期性について考えた人の名前をとって、ミランコヴィッチ周期などと言われます。
さて、今回取り上げた寒暖は、ここ数十万年の出来事なのでしょうか?A展示の亜熱帯の湖の時代は今よりも暖かかったと言われますし、恐竜の時代にはもっと暖かかったと言われています。気候の変化についてもっと過去までさかのぼってみると、もっと大きな変化が見えてきます。現在は、氷河時代ともいわれ、非常に細かな寒暖の周期がありますが、全体としては寒い時代とされています。前述のように恐竜の時代、特に中生代の半ばから終わり頃には、非常に暖かい時代が続いていたと言われています。そして、その前の時代にさかのぼると、全体的に寒い時代だったと考えられており、今と同じような氷河時代と言えるような時代だったと言われています。つまり、今のように寒い時代は地球始まって以来初めてというわけではなく、長い期間で見れば、数億年という周期で、寒くなったり暖かくなったりという、もっと大きな気候変化を繰り返している事がわかります。この原因について、地球のもっと大きな動き、太陽系が銀河系の渦の腕の中に入る時期と一致しているのだ、という意見もあります。

 

[ 43] 変化
[引用サイト]
http://jnhbible.s6.xrea.com/nh/polyself.htm

ゲーム中、幾つかの方法で、魔物や人間(一部を除く)に変化することができます。変化中には、特殊能力を得られるなど、さまざまなことが起こります。ここでは、その「変化」について。
変化するには、さまざまな方法があります。最も一般的なものが、変化の指輪をつける方法。行動するごとに 1 ターンに 1% の確率で変化が起こることがあります。
他に狙っておこす方法としては、カメレオンの死体を食べる、変化の杖を自分に振る方法があります。偶然起こるものとしては、流し台の水を飲んだ時(5%)、変化の罠を踏んだ時に起こります。
また、変化する際、変化制御の能力があれば、変化する先を自分で決められます。一般に、計画的に変化を利用する場合は、これを使って行います。
変化が起こると、虐殺されていないモンスターにランダムに変化します。変化制御の指輪を持っている場合、変化するモンスターを指定することが出来ます。どちらにしても、虐殺されたモンスターに変化することは出来ません。
変化制御があってもなくても、変化の際、およそ 20% の確率で新しい人間に生まれ変わることがあります。新しい人間に変化すると、10% で性別が変わる他、レベルが -2 - +2 の範囲で上下し、HP / MPの最大値のそれに合わせて変化します。また体が変化するので、腕力・器用さ・耐久力・魅力が -2 - +2 変化します。これは、放っておいても元には戻りません。変化は常にリスクを考えて行う必要があります。
またランダムに変化する際、時々 "システムショック" と呼ばれるダメージ(1 - 30)を受けることがあります。これは 95 - 5 * 耐久力 (%) の確率で起こります。このダメージは序盤では結構大きいので、魔法使いなどが指輪を付ける時は注意(というよりは覚悟)が必要です。
敵の獣人から攻撃を受けた時、それに感染して自分も獣人になってしまうことがあります。獣人になると、行動するごとに 1.25%(夜は 1.66%)の確率で、人間状態←→獣状態に交互に変化します。この「獣人状態」は、ターンで治ることはありません。
変化は、一定ターン経過すると元の人間の状態に勝手に戻ります。(それ以外にも、人間に戻る方法はいくつかあります。)
人間に戻った時、もし変化中に「自分」を虐殺してしまった場合、もとに戻れず、死ぬことになります。これは、命の魔除けでも助からない唯一の死亡例です。
まず、ライフ/レベル(HD; ヒットダイス)/運搬能力などがモンスター用のものに変わります。運搬能力は、ニンフが相当量を持てたり、力などのステータスを無視して大きく変化します。
次に、特殊な能力を持っているモンスターに変化すれば、それを得ます。飛行・呼吸不要などの便利な能力から、盲目のように不便なものまでや、また石化などへの耐性など人間では手に入らないものもあります。
そして、攻撃方法が変わります。これもやはり、その魔物の攻撃パターンどおりに攻撃するようになります。例えば、羽交い締めをしてくる敵に変化すれば、羽交い締めをするようになります。ただし、以下のような差異があります:
しかし、これではノームの魔法使いのように何も攻撃も反撃も出来ない哀れな(間抜けな)迷える小羊が出てきますから、以下のように補正がなされています:
巨大蟻、兵隊蟻、火蟻、女王蜂、コカトリス、羽のあるガーゴイル、クモ系、親ワーム系、親ドラゴン系、親ナーガ系、蛇系、巨大ウナギ、電気ウナギ、ワニ(全て、雌のみ)
最後に、体形が変わります。身体の各部の名称が変わり、また防具の装着に制限が出来ます。防具より大きな魔物に変化すれば、合わない防具を破ってしまうので注意が必要です。
サイズが MZ_LARGE 以上、サイズが MZ_SMALL より大きくヒューマノイドでない、マリリス
今回の負け組はまずコカトリスから。コカトリス、おお強い!強いことは強いですが、アイテムの回収が面倒です、というかその前に虐殺されていては変化できないのでした。マインドフレアも同じ。マインドフレアは恐らく武器防具を全て装備できる中で一番強いでしょう。攻撃しながら腹も満たせる(?)し、壁を突き抜ける遠距離攻撃も持っています。(いまいち使えませんが…)
次は紫ワーム。ペットとは違って消化にターンがかかるので、使い勝手がいまいちです。次が親ドラゴン系です。見るからに強そうな感じがしますね。でも残念ながら、コカトリスに攻撃したら即昇天してしまうのでした。これは紫ワームにも言えることです。武器と小手が装備できないのに変化すべきではありません。
最後にマリリス、これは強い!恐るべき強さです。その 6 本の腕から繰り出される攻撃はドラゴンをも 1,2 ターンで仕留めます。ミュルニールに無力化の杖をかけてまで +6 から +7 にしようとした自分が恥ずかしくなるくらい強力です。マリリスにとっては +6 だろうが +7 だろうが瑣末な問題。しかし惜しむべきはその防御力の低さ。クローク・鎧・シャツに加え、靴さえ装備できません。しかも HP が低いので、攻撃力の高い敵に囲まれたらあっさり人間に戻されてしまうのでした。これが実戦で使えたらなぁ…
というわけで勝ち組はインキュバス・サキュバスです。何に使うのかって?もちろんクエストに行くのにです。クエストボスに向かって攻撃してみましょう。なんと、クエストボスを倒さずにアーティファクトを手に入れられるのでした。防具は全て装備出来るし、ニンフと違って普通の攻撃も出来ます。
ゾーン、これは素晴らしい!クローク・鎧・シャツが装備出来ませんが、何と言っても壁をすり抜けることが出来ます。これならゲヘナで階段間の移動や地レベルはもちろん、命レベルの祭壇を調べるのも楽勝。瞬く間にクリア出来ます。
というわけで、魔物に変化する時は攻撃力云々より特殊能力を重視しましょう。あまり魔物に長い間変化しておくのはあまり賢い考えではありません。あと、装備出来る防具もチェックポイントです。最低でも武器・小手は装備出来るのにしましょう。

 

[ 44] 言語能力の加齢変化
[引用サイト]
http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/kouenkai/koza/57koza_2.html

「コミュニケーション」とは、おおざっぱにいって、感情・意思・知識・考えなどを伝えあうことです。またそれだけでなく、互いの感情や考えについて理解が深まり人間関係が確立されてゆく過程をも含め、コミュニケーションということがあります。一方、コミュニケーションの手段には、音声や文字、言葉の抑揚や身ぶり・表情などいろいろなものがありますが、言葉が重要な役割を担っています。高齢者とのコミュニケーションを円滑にし、世代間の理解を深めてゆくためには、ちょっと遠回りかもしれませんが、まずコミュニケーションの基礎となる言語能力の加齢変化について知っておく必要があります。
言語能力とは、ひとくちにいって、「話す・聞く・読む・書く」ことに関する能力です。またこの4つに共通しているものとして、単語の知識である「語彙」、文の知識である「文法」についての能力があります。言語能力をひとつのものと考えず、細かく区切って見てゆくと、言語能力の加齢変化にもさまざまな現象が見いだせます。きょうはここに挙げたもののうち「話す・聞く・読む・語彙」を例に挙げ、加齢変化のトピックを紹介したいと思います。
会話の最中、言いたいことははっきりしているのに言葉がでてこないことがあります。このような現象を、言葉を喚起するのが難しいという意味で「喚語困難」と呼びます。喚語困難は、固有名詞、特に人の名前を思い出そうとするときによく起こりますが、時として、物や事柄を表す普通の名詞、名詞以外の言葉でも思い出せないことがあります。
加齢にともない喚語困難に陥ることが多くなります。ある調査では20才の若年者ではひと月あたり平均3.9回の割合で喚語困難が起こるのに対し、40才では 5.4回、才では 6.6回になるという結果が出ています。どの年齢でも人の名前を忘れることが最も多いのですが、高齢者では昔の知り合いの名前が思い出せないということが多いようです。加齢にともない最近会っていない知り合いの数も増えますから当然のような気もします。しかし有名人の名前を尋ねる検査でも、「知ってる」と答える割合は高齢者と若年者で差がないのに、そのうち名前が言える割合は高齢者の方が低いというデータもあります。どうやら加齢にともない言葉を思い出すこと、そのなかでも人の名前を思い出すことが特に苦手になるようです。
加齢にともない耳の聞こえ(聴力)が徐々に低下します。しかし、誰もがいわゆる「老人性難聴」になるのではなく、65才以上でも4人に1人の割合です。難聴になると言葉の聞き取りが悪くなりますが、どんな言葉でも同じように聞き取りにくくなるわけではありません。出現頻度の低い低頻度語の聞き取りが特に悪くなります。
しかし、低頻度語が聞き取りにくいといっても言葉そのものが失われるわけではありません。聴力が正常な若年者や高齢者でも音声に雑音を加えると、老人性難聴の方と同じく、低頻度語の聞き取りが低下します。老人性難聴による低頻度語の聞き取り低下は、聴力損失による副次的なものです。
日本語には仮名と漢字があります。仮名は平仮名・片仮名とも文字数が約80で読みもほぼ決まっていますが、漢字の文字数は日常よく使うものでも約2000字もあります。読み方もいろいろで、例えば「家」という字は「家庭・家来・家柄・家主」など熟語によって読み方が異なるので、熟語ごとに読みを覚えなければなりません。そのため漢字熟語の読みやすさは、熟語の出現頻度や個人の読書経験によって異なってきます。読書経験を直接調べるのは難しいですが、地名・人名についての知識や言葉の意味を尋ねる言語検査により、ある程度推測することができます。 この言語検査得点の高い人、低い人をそれぞれ20才の若年者、70才の高齢者から募り、漢字熟語の音読および黙読の速さを測定すると、発声運動を含む音読の速さでは若年者が勝りますが、黙読の速さは同じくらいになります。また若年者・高齢者のどちらでも、言語検査の得点が低い人は黙読が遅く、出現頻度の低い熟語が特に苦手です。
漢字熟語のように個々の単語の知識が重要な場合、少なくとも70才くらいまでは加齢による黙読能力の低下はほとんど認められません。年齢より日頃の経験が決め手となるようです。
先ほど、言葉を喚起する能力、すなわち喚語能力は加齢にともない衰えるという話をしました。ところが、高齢者の話を聞いていると「ずいぶん難しい言葉や最近では使わなくなった言葉まで、よく知っているな」と感心させられることがあります。言葉を思い出す力は衰えても、知っている言葉それ自体、すなわち語彙は失われないのかもしれません。
喚語能力に左右されないように語彙数を調べるには、単語を見せて、見たことがあるかどうかを尋ねる方法を使います。単語のリストの中にはさまざまな出現頻度の単語が含まれており、低頻度語に対し「見たことがある」と答える人は語彙数が大きいと推測できます。さらに、回答の正確さをチェックするために、リストの中には実際にない言葉、すなわち非単語も混ぜ、非単語に対しては「見たことがない」と答えるように指示します。この方法で20才の若年者と70才の高齢者の語彙数を推定すると、高齢者は若年者の 1.3倍の言葉を知っていることがわかります。
言語能力の中でも、喚語は40才ですでに低下し始めるのに対し、黙読は70才になっても若年者と変わりません。また語彙数にいたっては加齢にともない増大してゆきます。言語能力の中にも低下するもの、保たれるもの、上昇するものがあるようです。さらに音読や聞き取りの場合のように、発声能力や聴力の低下により、言語能力があたかも衰えるように見えることもあります。
言語能力の加齢変化の実態、およびその多様性の原因についてはまだよくわからないことがたくさんあります。しかし、それを把握し理解してゆくことは「お年寄りのコミュニケーションを考える」うえで重要な役割を果たすことになるのではないのでしょうか。
京都大学卒業。理学博士。高齢者や若年者の言語に関する研究、失語症の言語障害・リハビリテーションに関する研究に従事。主な著書に「コミュニケーション行動の機能的分析」小林重雄編『障害児者のコミュニケーション行動獲得に向けて』学苑社、などがある。

 

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